ベツニ・ナンモ・クレズマー、解散します!

ここのところ、すっかり"告知ブログ"化してしまっていますが、たまには日記のようなものでも.....。

今年は年明けからほとんど休みなく多忙で、慢性睡眠不足の日々が続いていたのですが、その日々もどうにか今月13日でひと段落、最近はほとんど毎日12時間くらい寝ている(!)という自分にしては革命的な状況ですが、まだまだ疲れがちゃんと取れません。頸椎ヘルニアの経過はよく、ついに老眼がきたか!と思われた視力低下も睡眠不足を改善したら随分と解消されたけれど、11月のツアー前から悪化していた腰痛は相変わらず一進一退で(主治医に「骨盤捻挫ですね」と言われてしまった...)、なかなか完全には回復してくれません。ふぅ〜。

キャロサンプの20周年企画として12月1日から開始したレーベル“Disc Callithump"、宣伝不足の為にまだまだ認知度は低いと思うのですが、それでも日々、レーベル専用の通販サイト(http://disc-callithump.galabox.net/)にぼちぼちとアクセスや注文をいただいているし、ネットに素晴らしいレヴューが書かれていたり、こちらの動きが緩慢なのにもかかわらず、ありがたいことです。感謝。「商いは牛のよだれ」という感じで、レーベルは地道にぼちぼちと、無理せずやっていくつもりです。あらためてよろしくお願いします。

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さて、1992年の12月から丸16年活動を続けてきた日本で最初のクレズマー・オーケストラ”BETSUNI NANMO KLEZMER"が、明日22日の新宿ピットインでのライヴを最後に解散します。今までマネジメントやプロデュースをしてきたアーティストで、こんなに長くつきあったバンドもなかったというくらい長いつきあいでしたが、諸事情によりその歴史についに幕を下ろすことになりました。

事の発端は92年の秋のある日の深夜1時頃、突然の梅津さんからの電話。「年末の新宿ピットインの3デイズでクレズマー・オーケストラやりたいんだけど、僕、明日からレコーディングでニューヨークなんで、帰ってくるまでにメンバー集めといてくれる?」

篠田昌已ユニットでの共同作業で初めてクレズマーに触れて以降、興味を持ち続けて、たくさんのレコードやCDを買い漁って聴いていながら、まだ当時はその音楽を専門に演奏するバンドを目の当たりにしたことはなく、当時はキャロサンプの業務の傍ら、月曜から金曜までは横浜のはずれにある某ゼネコンの研究所まで片道2時間かけて働きに通っているという日々で、時間は圧倒的に不足していたのですが、こんな機会はそうはないと思ってその場で二つ返事で引き受けてしまい、ただでさえ忙しい予定のその年の年末は、非常に濃いものになることとなったのでした。

梅津さんの帰国までに人選を考えてメンバーを集め、帰国後に梅津さんに自宅に来てもらって、いろいろな音源を聴いてもらったり、洋書屋で見つけたクレズマー古典曲の楽譜集を見たりしながら、演奏する曲をいっしょに選んだり、何度かのリハーサルの予定を組んだり(何しろ人数が多いので、全員集まれる日が本番以外にない!)、すでに十分忙しい時間を縫っての準備の日々。

その年の12月の末に、まだ二丁目に引っ越して日の浅い新宿ピットインで行われた、「梅津和時 KLEZMER ORCHESTRA」としてのその初ライヴでの、哀愁の旋律とあいまった笑ってしまうくらいの演奏のふにゃふにゃ具合が今でも忘れられません。

その日の演奏終了後、梅津さんから「このバンド面白いからまたやりたいなぁ。野田くん、スケジュール調整よろしくね」と言われ、梅津さんに最初に"クレズマー・オーケストラ"と言われ、どうせ一回だけだとタカを括って大編成にしたことがちょっと後悔されましたが、それを機にその後16年間、このバンドのマネジメントをすることになったのでした。

2回目のライヴからは立派な(?)バンド名も付き、何故だかライヴの回を重ねる毎にメンバーが増えたり(マネージャーの仕事はさらに煩雑になり...)、3枚のCDを発表し、大人数にもかかわらず日本各地に呼んでいただき、今はなき渋谷のシードホールで芝居の公演もしたり、トニー田中さんのメーキャップショーの音楽を担当したりと、いろいろなことがありました。

16年の間には2人のメンバーが他界し、海外へ移住してしまったメンバーがいたり、一度もライヴをしなかった年もあったり、それでもまた忘れた頃に集まってライヴを再開したり(未だにメンバー全員が揃ったライヴをしたことがないけれど...)、結成当初はまだ未成年だったメンバーの息子が今ではメンバーになっていたり、なんだか人生の縮図っぽいなぁ。

最後の数年間は単に年1回程度にライヴをするだけ、特に新曲をやったりという新しい展開もなかったので、個人的には忸怩たるものが残りますが、泣いても笑っても明日で最後です。お時間ある方は聴きに来て下さい。詳細は下記の通りです。


梅津和時 冬のぶりぶり2008』12月22日(月)
 『BETSUNI NANMO KLEZMER 解散コンサート』
 出演:梅津和時: clarinets, sax
    大熊ワタル: clarinet, bass clarinet
    中尾勘二: clarinet, soprano sax
    多田葉子: sax
    細川玄: trumpet
    北陽一郎: trumpet
    関島岳郎: tuba
    松井亜由美: violin
    向島ゆり子: violin
    四家卯大: cello
    張紅陽: accordion
    立花泰彦: contrabass
    佐野康夫: drums
    永田大和: drums
    永田砂知子: marimba, percussion
    巻上公一: vocal
 @新宿PIT INN
  東京都新宿区新宿2-12-4 アコード新宿B1F 
 開場19:30/開演20:00
 前売¥3,500/当日 ¥4,000(ともに1ドリンク付)
 ◎ 11月2日より、チケットぴあ、新宿ピットインにて、前売チケット(開場時優先入場整理番号付)発売中。
 お問い合わせ:新宿PIT INN tel.03-3354-2024 http://www.pit-inn.com/