仙台で新年会?

callithump2007-01-13

火曜から金曜までの4日間は例によってみっちり校正の仕事。4日で2回しか帰宅できなかった。ドラびでおのワンマンも結局観に行けず終い。

しかし、その甲斐あって土日は時間が空いたので、急遽ホテルを予約して、新幹線のディスカウント・チケットを購入し、1泊2日で仙台へ赴くことにする。目的はもちろん、せんだいメディアテークで開催されている大友良英の『without records』。早々に観に行くことに決めていた札幌の沼山さんから、「野田君もくればいいのに。仙台で新年会しようよ」と去年から言われていたのを、予定がはっきりせず曖昧な返事でお茶を濁していたが、これでめでたく参加できる。

人身事故で中央線が止まったり、あまり順調とは言えない行程だったが、それでも午後2時前には仙台駅に到着。さすがに東北、当たり前だが東京より寒い。ホテルにチェック・インを済ませ、そのまま会場へ。すでに仙台の名物オヤジ、つかぽん。が会場で待ちかまえていて、いろいろと説明してくれる。コンサート会場でセッティング中の大友君を訪ねると、オレの顔を見るなり、「あ、ちょうどよかった、ギター・アンプを左右対称に置きたいんだけど、ちょっと見てくれる?」といきなり仕事を頼まれる。えー、休みに来たのにおいおい...とか頭では思いながら、ありゃりゃ、身体はもう勝手に動いてるよ。そのままいると本格的に手伝ってしまいそうだったので、ほどなくして退散。階下の展示をあらためてじっくりと見せてもらう。

それぞれに異なった仕掛けを施された66台のポータブル・プレイヤーがランダムに作動・停止を繰り返し、あちこちからミニマルな音が聞こえてくる。自分の立っている位置やタイミング、また他の鑑賞者との関係で音の聞こえ方は常に変化する。個々にはミニマルでありながら、全体としてはミニマルとはまったく趣を異にするあり方。大友君は66台のポータブル・プレイヤーをオーケストラに例えていたけれど、指揮者を中心にある一定の方向へ進むオーケストラとは別物と言った方がいいだろう。展示の中央に全体のオン/オフをコントロールするシステムが鎮座してはいるが、本来的に目指す方向性がオーケストラとはまったく違うし、この作品を既存の何かに例えるのは難しい。カオスなんて紋切り型のタームでも当然説明がつくものではなかろうし。言葉では説明しにくいけれど貴重な体験になると思うので、時間のある人は会場に足を運んで実際に体験してみることをお薦めします。ヴィジュアル面を担当した青山泰知さんの仕事もまた素晴らしいです。

会場が大きな通りに面したガラス張りのビルの1階で、入場無料、土曜日だということも手伝って、普段こういった現代美術のような作品に接する機会があまりないだろう家族連れの来訪も目立った。特に小さな子どもは反応がダイレクト。「お母さん、これおもしろーい」と言って1台のポータブル・プレーヤーの前にしゃがみ込んで動こうとしない子や、思わず手が出て微妙なセッテイングを崩してしまう子(笑)、バレエを踊り出す子までいて反応はさまざま。「こういう展示を公共の施設でやるのはよくない」とかなんとかクレームをつけた人もいたそうだが、やはり理屈や固定観念にとらわれていない方が物事を楽しめるということでしょうか? 自分も油断して固定観念にとらわれないよう、あらためて気持ちを引き締めたい、いやいやいや、ゆるめたいと思う。

夜はホールで大友君のソロ・コンサート。前半は2本のギターと2台のギター・アンプを使ったフィードバックとそのモジュレーションだけによる演奏、後半は2台のターンテーブルとプリペアド・カートリッジによる演奏。どちらもエッジの効いた大音量の演奏だったが心地よく、2セットとも終わりの方は半分まどろみながら聴いた。

若いボランティア・スタッフが出席者の半分以上を占める打ち上げは、まるで大学生のコンパのよう。青山さんは今日が誕生日(そういえば、遠藤賢司さんも今日が60歳の誕生日のはず!)、おめでとうございます。相変わらず断酒中だし、寝不足だし、肩こりと頭痛がひどいしで、みんなより一足先に失礼してホテルに戻って就寝。う〜ん、心地よく疲れてる。どっぷりと仕事をした後の身体にのしかかるような疲労感とは違うこんな感覚も久しぶり。