嵐の金曜日

callithump2006-10-06

Freylekh Jamboree のサード・アルバム『ニッポン・クレズマー』は、そのちょいと野暮ったいタイトルとは裏腹に、彼らの最新作にして最高傑作だと思う。小細工のないストレートなレコーディングへのアプローチ。太くて重厚なアンサンブルの妙。大阪とか、日本とか、バルカンとかいった四方山のローカリティを超えてなお、「大衆音楽」として骨太に響く強靱さを内包している。

今日はその Freylekh Jamboree のCD発売記念ライヴの東京編。生憎の嵐だが、天気予報では夕方には雨も止むとの報。その報に望みを託してサウンド・チェックに臨む。しかし、開場時刻を過ぎても、開演時刻が近づいても一向に雨が止む気配はなし。開演直前になっても予約のお客さんの約半分が来ていない状況。しかし、それでも幕は開く。

主催者がこんなことを言ってしまうと身も蓋もないのだが、対バンの西内隊の演奏は正直言ってあまり感心したものではなかった。事前に丁寧に準備されたのであろうクラリネット三重奏による和田アキ子の「古い日記」のカヴァーを除いて、だらだらと行き当たりばったりに進行していて、一部の演奏者の好演がかろうじて全体を支えているという印象。チンドン屋の若い衆が余暇に集ってうさばらしに演奏するのは別に構わないが、少なくとも入場料をもらって聴かせるような演奏ではなかったように思う。今回は Freylekh Jamboree の瀬戸くんに内容を任せてしまったが、やはり次回からはちゃんと自分で企画を考えねばと反省。

続く Freylekh Jamboree はいつにも増しての好演。全員が譜面を見なくなったこともアンサンブルのクオリティの向上の一助になっているのであろう、彼らの中から音楽が実に自然に次々と溢れ出てくる感じ。

終演の頃になってようやく雨が上がる。徹夜で高速を走って大阪に戻る Freylekh Jamboree のメンバーを見送って帰途に着く。雨も止み、人も引け、さっきまでの賑やかさが嘘のように急に静かになってしまった。