清水先生

callithump2007-05-26

21日に亡くなられた清水俊彦先生の葬儀に行ってきた。

2年前に倒れらてからはずっと入院生活でお会いする機会もなかったが、それ以前の数年はよくライヴに出かけられる際のお供をしたり、わざわざ食事に誘っていただいたりして、どういう理由だかけっこう可愛がっていただいた。いっしょに酒を飲みながらとてもここには書けないようなスゴい話を聞かせてもらったり、オレが雑誌に書いたリヴューを読んでおられ、事もあろうに「野田君、君の文章は素晴らしい。もっと書きなさい」とお褒めと励ましの言葉をいただいたこともある。天下の清水先生からのもったいないようなその励ましに反して、今やすっかり文章など書かなくなってしまい、せいぜい書いてもこの日記ぐらい(それも1カ月も間が空いたりする...)という体たらくぶり。こうして今思い出すと、申し訳ないのよう。

お年を召されて体を悪くされてからも、杖を片手に精力的にライヴの現場に足を運ばれ、ご自分が筆を置かれて以降も後進の書いた文章にまめに目を通されていた。新しいことに対する興味と理解を常に失わず、体が言うことを聞かなくなるまでフィールドワークを止めなかった、真に尊敬に値する数少ない批評家の一人であられたと思う。酒と煙草と音楽をこよなく愛し、スタイリッシュで気っ風がよく、先生が音楽を愛するのと同様に多くの音楽家・音楽関係者から敬愛されていた。そう、実に格好いい人だったのだ。倒れられた2年前からうすうす覚悟はしていたけれど、いざその死が現実のこととなるとやはりすんなりとは受け止めがたい。今さらながら、もっと話がしたかったと思う。

最後の2年間はもちろん大好きな酒も煙草も遠ざけた生活だったそうだが、親族の方がヘッドホン・ステレオを病室に持ち込まれ、コルトレーンのCDや先生宛に送られてくるサンプル盤などを時々聴かせていたとのこと。退屈だろう入院生活、いかばかりかと案じていたが、その話を聞いて少し気持ちが安堵した。

先生、いろいろとありがとうございました。ゆっくりとお休みください。