カヒミ・カリィとモリアオガエル

callithump2007-06-03

2週間前にも別件で訪れたが、今度は秋に行われるコンサートの会場下見と打ち合わせのために再び京都へ。で、折角なので1日早く京都入りして、法然院でのカヒミ・カリィ with 大友良英ジム・オルークのライヴを聴く。

京都到着後、まずは「東錦」に寄り遅めの昼食。2週間前にも来たけれど(「松本里美の日記」http://www.satomin.jp/diary/new_diary.htm の5月25日の項参照)、おばちゃんのゼッコーチョーぶりは相変わらず。今日はおいしそうな一塩のぐじがあったのでそれを焼いてもらう。鱗がパリパリして絶品。他に茄子のたいたん、イワシの醤油煮、キュウリと茗荷と湯葉の酢の物など。〆は自家製厚揚げと湯葉と野菜の天ぷらが入ったうどん(ハーフサイズ)とちりめん山椒ごはん。大満足だけど、さすがにちょっと腹が苦しい。

法然院の周辺は、市街地からほんのちょっと東山に入っただけなのに鬱蒼とした木々に包まれ、まるで異界に迷い込んだような静寂さ。森の持つ浄化力のせいか、空気が澄んでいてしっとりと冷たい。ムササビが棲息していると聞いたが、これならと納得できる。山門への入り口があまりにも地味なので、ついうっかり前を通り過ぎてしまう。近所の人に教えてもらってやっと辿り着くと山門横に「不許肉葷酒入山門」の文字。さっきまでの自分の飽食ぶり(?)を窘められているような気が.....。

コンサート会場となった方丈の中庭の池の周りの灌木には初めて実物を見るモリアオガエルの卵塊がいくつか。その中庭と周りの森を借景にしてステージが設えられ、まだ日のある内に開演。西日が竹林を金色に輝かせる夕暮れ時からうす闇への移ろいの中、極めて静謐に演奏は進行する。外から聞こえる鳥やカエルの鳴き声、時折聞こえる鹿威しの音までがまるで演奏の一部のように聞こえ、ZAKによる極めてコンパクトなP.A.システムも照明も補助的で必要最低限に抑えられ、決してその趣きを壊すことはない。

面白かったのは、モリアオガエルの鳴き方がコンサートが進行するに連れてだんだん演奏に合ってくること。終盤になると、曲の終わりと泣き止むのががまるで練習したかのようにピッタリと揃ったりする。バカラックのカヴァー「This Guy's in Love with You」のときなんて、それまでほとんど鳴いていなかった客席後方の庭のカエルだけが大合唱を始め、曲の終わりにピタリと鳴き止んだ(もっともそれは、ひと際大きな拍手に驚いただけかもしれないけど...)。カエルの反応の法則性がどうにも割り出せないけど、現象としては非常に興味深い。誰か研究して論文を書いてみませんか?

打ち上げでは約半年ぶりに吉田屋料理店へ。おかみのお母さん謹製のおばんざいとおかみ特製の料理の数々に舌鼓を打ちつつ、明け方近くまでまったりと過ごす。