日々の器展とマーガレット・レン・タン

callithump2007-06-04

今日の打ち合わせは午後イチからなので、午前中はやや早起きして、今日から始まる喜多村朋太+potitekの『日々の器展』を覗きに行く。ちょうどオープンの11時に会場に到着し、口開け一番のお客となる。会場の碧山居は吉田山の東斜面に建つ一軒家。玄関を入るといきなり二階で、縁側から正面に大文字山が見える絶好のロケーション。新緑の季節ど真ん中、好天にも恵まれ、素晴らしく清々しい。

喜多村さんが作陶家であるのは聞いていたけれど、今までPOPOのオルガン奏者としてしか接したことがなく、こっちの作品に触れるのは今日が初めて。でも、予想通りというか、その人物像や音楽性からかけ離れることなく、しっとりと親しみやすい器ばかり。potitekの二人の木工作品も直線と曲線の妙が冴えてどれも美しい。

景色もいいし風も気持ちよくて、いつまでもここでまどろんでいたい気分だが、どっこい仕事が待っている。喜多村さん作の大皿を1枚と、potitek作のフォルムの美しい左利き用のバターナイフ1本を購入し、そそくさと待ち合わせ場所に急ぐ。

その後、市内某所でこの秋に開催予定のコンサートの会場下見と打ち合わせ。内容はまだ公表できないけれど、とても面白いものになりそうな予感。

夕方の新幹線に乗り、東京へ戻る。車内ではまた別件の打ち合わせ(こちらもまだ秘密)。その足で渋谷のアップリンク・ファクトリーへ、マーガレット・レン・タン出演のイヴェントを観に行く。

最初にトイ・ピアノのために書かれた曲を3曲ほど演奏。にこやかに曲の説明をし、いざ演奏と楽器に向かう際には必ずゆっくりと息を吐きながらコンセントレーションを高めてすーっとその世界に入っていく。何かに取り憑かれたかのような極めて高い集中力で、ともすればキッチュになりそうな曲を見事に弾きこなし、演奏終了後には一瞬の間を置いてまた人懐っこい笑顔にすっと戻るのが印象的だった。

その後に上映されたドキュメンタリーは、前半は主に内部奏法やプリペアドをライフワークにするコンサート・ピアニストとしての面に、後半は世界でも稀なトイ・ピアノの演奏家としての面に焦点をあて、さまざまな作曲家や批評家、共演者の発言を交えて彼女の活動が紹介されていくもの。冒頭のミニ・コンサートでも垣間見せた演奏家としての妥協のなさと、音楽に対して常に真摯な彼女の姿勢を浮き彫りにしている。ここまで深く作品にコミットし、見事なインタープリテーションを披露してもらえれば作曲家も本望だろう。多くの作曲家から作品を献呈されているのも頷ける。

終演後に関係者のT嬢に紹介され、マーガレットと少し話す。ステージや映画での印象通り、笑顔のかわいい気さくで上品な人だった。ニューヨーク在住の彼女、なんだか共通の友人がたくさんいそう。「今度ニューヨークに行くことがあったら連絡します」と言って別れ、帰途に着く。あぁ、長い一日だった。