” Tiny Adventure with Strings ” vol. 13

昨日は吉祥寺MANDA-LA2で、今年2回目、約3カ月ぶりになる" Tiny Adventure with Strings "の本番。

今回は、酒井俊 & String Trioの事前リハーサルの予定が組めなかったので、昼12時から吉祥寺でスタジオを借りて念の為の楽曲のおさらい。ゆり子さんは寝坊して慌てていてヴィオラを忘れてきちゃうし、坂本くんは3日前にドアに左手の指を挟んで怪我をしてるし、水谷くんは徹夜でアレンジ仕事をしていて寝不足だしで、一時はどうなることかと心配したけれど、リハは存外に順調に進行。予定の1時間前に終わって切り上げることに。その後、会場のMANDA-LA2に移動してセット・アップとサウンド・チェックをするも、こちらも極めて順調に進んで予定よりかなり早めに終わる。しかし、これまでのこのバンドの通例としては、リハーサルがうまくいった時は本番で必ず大ポカが発生している。故にこうも順調だと却って心配になる。気を緩めないようにせねば.....。

さて、本番。最初のセットは、秋山羊子ちゃんのピアノ弾き語りと小川紀美代さんのバンドネオンのデュオ。羊子ちゃんのCD『指一本で倒されるだろう』と、小川さんの完全バンドネオン・ソロによるアルバム『月ノ光』はどちらも今年になってずっと、あまり家では音楽を聴かないオレのプレイヤーのヘヴィ・ローテーションだし、今年の1月に2人でのライヴを見て、それがとてもよかったのでこのコンビネーションでの出演をお願いした次第。お互いにお互いの音を実によく聴いているようで、まだたったの3回目の共演とは思えないくらいに深いところで交感してアンサンブルを構築している。その時々の心の赴くままに気持ちよく逸脱していく羊子ちゃんの歌とピアノに、まるであらかじめ書かれていたかのような正確さで伴奏を寄り添わせていく小川さんのバンドネオン。おそらくはものすごい緊張感で為された演奏なのだろうが、そんなことは露とも感じさせないくらいにゆったりとして気持ちのよい音楽だった。

で、続いて我らが酒井俊 & String Trio。きわめて個人的な感想を書けば、リハーサル後のオレの心配とは裏腹に、今までで一番安心して聴ける演奏だったと思う。ミスがなかったわけではないし、曲毎のメリハリなどの細部に不満がないわけでもないが、先ずはここまでニュートラルに安定した演奏を体現できるようになったことを喜びたい。思えば最初のリハーサル開始から早もう約3年、大袈裟に聞こえるかもしれないが、やっとここまで辿り着いたか...という感じ。今日のこのスムーズさ、プロデューサーとしては嬉しい誤算と言える展開だった。

問題があるとすれば、やはり集客だろう。実は開演の15分ほど前までお客さんがほとんどいなかったのだ。開演直前になってどやどやと詰めかけてくれて、どうにか格好はついたけれど、主催者としては冷や汗ものだった。今回は、企画内容的には自分としてかなり満足のいくものになったと思うのだが、聴いてくれる人がいなければそれもそこで終わってしまう。これは誰でもない自分の課題。次はもっとがんばらねば。

今日は都内某所で秋に行うちょっと大きめのコンサートのための打ち合わせ。詳しいことはまだ書けないけれど、例によって大所帯モノでの国内ツアーのオーガナイズ。しかし、うちは大所帯モノのオファーが多いな。人数多いので儲かりませんが(苦笑)、そこはそれ、うまくいったときのやりがいとか達成感はすごいですよ。がんばります!